あやまほし

観劇・体験レポとエッセイ

今日もしんでるあいしてる

というお芝居を観てきました。

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英語タイトルは「DIE LOVE YOU.」

DとEで挟んだだけで、こんなにも意味を持つ言葉になるなんて。

死のなかに I(=私),(愛)がある

ともとれる気がする。

ひらがな表記なのも良いよね。"愛死てる"と変換することもできるし。タイトルだけでこんなに想像を膨らませる事ができるって素敵!ことば遊びは楽しい。

東京は下北沢

2012年にヨーロッパ企画の「月とスイートスポット」を観て以来2回目の本多劇場

懐かしかった。迷ったけどなんかお芝居が観たくて急遽当日券買ったのを思い出した。

ずっと観てみたいなあと思っていた"悪い芝居"の本公演。劇団の名前は、「悪いけど、芝居させてください。」の略だそう。なので、内容や役者さんは悪いどころかめちゃくちゃ良いです!!!よ!!

悪い芝居vol.27 今日もしんでるあいしてる

主宰の山崎彬さんは、舞台「ロマンス2015」で拝見しているので特に楽しみだった!

今、このお芝居をやってくれて、観ることができて本当によかった。あったかかったなあ。

ホームページやチラシに載っているキービジュアルの時点で、私が好きそうな感じかも〜と思っていて、客席入って舞台セットを見て確信。

開演前から既に役者さんが舞台上にいてビックリしたあ!人間プリセット😆

そして、開演ブザーもなくシームレスにお芝居が始まるの好きだなあ。

セットも音楽も照明もポップ。とにかくポップでかわいかった〜〜

配色が、アニメ「空中ブランコ」を思い出させた。神山健治配色。ピンクが印象的だった。
色だけで、ポップな不条理感(とでも言おうか)を出してるのがすごい。日常なんだけど、登場人物たちはふつうにしてるんだけどなんか違和感を与える色あい。

白地にカラフルな花柄のモチーフが好きなので(A.B.C-Zの2015年のABC座の衣装とかディズニー35周年のTシャツの柄とかめちゃ好き)、花束がドライフラワーみたいに吊るされているのも可愛かった。ただ縄が吊り下がってるのもあって、輪っかになってるとやっぱりちょっとウッてなるのに、カラフルなお花がそこにかかると、途端に心和むインテリアみたいに見えるの、おもしろいなって思った。”活きる”ことと”死ぬこと”はすぐそばにあって、いつでも表裏一体なのかなって思わされた。

物語のメイン人物である、"しんでいることに気づいていない"妻、九木 儚(ここのき はかな)の服装がめちゃタイプだったあ!!

白のふわっとした長めのワンピースからカラフルな布がのぞいていて、靴下もくるぶし丈でレースついてたし。髪ツヤツヤすぎて、良い意味でこの世のものでない感が出てて、既にしんでるっていう設定知らなかったとしても、そんな設定なのかな〜?て連想できるぐらいの清廉潔癖感がすばらしかった。

私、パジャマ好きなんですよ(唐突)

普通の服でも、パジャマみたいな服好きなんだよねw

かわいいベッドのセットも異常に好き(軽率な押韻

パジャマとかベッドって、"眠い"を連想させるし、なんか子供っぽいから好きなんかな?

子供っぽい服装とか学生みたいな服装めちゃ好きなんだよね〜

あと、布面積に余裕のある、たゆんとした服装ってファンタジー感出るよなあと思った。総じてタイプ。

上手側の、出入り口になってるセットの上にもちっちゃいベッドがあって、誰が寝るんだろ?って思ってた。

儚役の、文目(あやめ)ゆかりさん、ずっと見ていたくなる人だなあと思った。

話し方は幼くてふわふわした感じがするのに、時にハッとさせられるような独特な声を持つ女優さんだなあと思った。大竹しのぶさんのような。

「おはようねぇ〜」がかわいかった!

マネしたい(^.^)

蚊又 念(かまた ねん)役の内田健司さんは、声にも雰囲気にも気怠げな色気があって、「北の国から’95 秘密」の時の吉岡秀隆さんを彷彿としかさせなかった。出てきた時「純?!」て思っちゃったもんね(≧∇≦)いちばんドキっとしたのは念かも。

劇中での初登場が、姿より先に電話口からの声っていうのめっちゃ良い。

あの声だけで、祈子との関係性とか距離感とか、どっちがどのぐらい相手のことをどう思ってるのかとかが分かるもんね。すげえ。

あと、やっぱ、なんか受話器っていいよなあ〜って思ったあ〜。厚みと丸みのある持ち手とか、くるくるしたコードとか。

スマホが普及しすぎてあまり見かけなくなったから、フィクションの中でしかお見かけしなさすぎてもはや受話器自体がフィクションを象徴するもののようになってきてるからね。

リアルでもガシガシ使ってた世代にとっては不思議な代物になりつつあるね。

そしてね、儚の夫、 九木 大(ここのき だい)役の牧田哲也さんがとてつもなく素敵だった。

これまた私の好きな劇団「柿喰う客」の役者さん。

なんか、本当に儚のことをあいしてるんだなあっていうのが、話し方とか仕草とか眼差しで伝わってくるんだよね。言葉にせずとも"愛おしい"が伝わってきて、なんか、人をすきになるっていいなあって、愛に満ちていて泣いちゃいそうだった

ほんとに夫婦の会話を覗き見させてもらってるような気分だったなあ〜。めちゃ結婚したくなった笑

来月観に行こうと思っているお芝居が「いとしの儚」というタイトルなので、役名同じ〜!と思った!なんだか嬉しかったんだけど、「いとしの儚」の初演が2000年で既出ということもあり、また、劇中の儚の台詞「”愛にできること”なんてほとんどない」といった、某気象を操ることのできる少女が出てくる映画を思い出さずにはいられないところなど、若干の焼き直し感が否めないところも否めないのはわざとなのか、はたまたってちょっと思っちゃった。

そもそも、「愛にできること」というフレーズ自体はもともと元ネタがあって、野田洋次郎オリジナルではない感じ????(ああ、もう言っちゃったよ)

やっぱ、死んでしまったはずの女性と、今でも想い続けている男性というストーリーは、どうしたって アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(以下、『あのはな』とする)」を思い出しちゃうよね。”死んでしまった人とまたコミュニケーションをとれたなら”っていうのは永遠のモチーフだけど、多分20代より若い人たちはあのはなで、もっと上の世代の人たちは映画「ゴースト」だったりするのかなって思った。まあ男女逆だけど。

劇中の「愛はエゴ」という台詞について考えていた。相手を満たそうなんて思ってなくて、自分が満たされるから、誰かを愛すのかなあと思った。

「淀んだ愛」か。愛はそんな綺麗なものじゃ無いってさ。エゴにまみれた自分への愛が、ほんとうの愛だったりするのかな。

自分が愛されたいから、人は人を愛すのかな。

大は儚に、「自分が本当にしたくて儚のことに時間を使っているのだから、自分に時間を使っているのと同じ(ニュアンス)」と言っていた。これこそ愛だと思う。自分が与えたくて”与えさせて頂きたいもの”を受け取ってくれる相手が存在する時点で、与える側も、与えられているんだなあ。

病院にいる儚を元気づけようと、大と仲間たち(ダイラブユーというグループ名)でリモートライブをする場面。目の前にいないからこそ、より「伝えたい!伝われ!」っていうエネルギーが、伝えたい相手が目の前にいる時とはまた違ったものが出ると思う。

私もライバーとして、リモートで自分自身を発信し続けている。ライブ配信を始めて約1年半。

一方で、小学生の頃から人前に立ち、歌やお芝居をやってきてもいる。

もちろん、リモートより目の前にいる方が伝わりやすいから手を抜くといったことは一切無いし、リモートと、目の前で”演(や)る”のとは全く別物で比べようがないのだが、両方経験してきた身からすると、やっぱり観てくれる人が実際に目の前にいる時の、お客さんから向けられるエネルギーってすごいし、いてくれた方がめちゃくちゃテンション上がって、化学反応的で天文学的な”レベチ”の発信ができるのだが、リモートはリモートで、おもしろいミラクルが起きたり、オンラインの波をこえて届けっ!という、より相手を想像した発信ができるので、それぞれに魅力がある。

ということがわかったので、ライブ配信に挑戦してみて良かったと思う。

大が、タブレットの向こうから観てくれている儚に、「元気になった?」と言うところでなぜか涙が出てしまった。

芸術の根源って、「元気になってほしい」なのかなって思った。

「明日からもまた頑張ろう!」ってなれるために、人は芸術に触れるのかもしれない。

必ずしも、直接的に”元気づける”要素があるものでなくとも、”心が動いた瞬間を表現せずにはいられない何か”に突き動かされて発信されるものたちは、例外なくそれを享受した者に何らかのエネルギーを与え、”生きている”ことの確認・”生きる”ための活力も与えている。

だから私は舞台が好きなんだ。内容や、誰がやっているかと言うことなどももちろん大切なんだけど、とにかく「なんかやってる!」「生きてる!」という膨大なエネルギーを受け取って、また明日からも生きていこうってなりたいんだと思う。

いかにも悲しいシーンとかじゃなくて、こういうあったかいシーンで微笑みながら涙が出る作品は良い作品だと思う。そりゃ人が死んだら誰だって悲しくて泣けるわさ。

劇中の世界で蔓延していた「ハートブレイクウイルス」、通称”失恋病”。

ボカロ曲の「ハートブレイク・ヘッドライン」という曲を思い出した。40㍍Pさんの楽曲大好きです。

ちょうどオンラインでやりとりしている子とボカロの話になって、久しぶりに聴こうかな〜とか思ってたとこだったからびっくりした!

 


【GUMI(40㍍)】 ハートブレイク・ヘッドライン Heart Break Head Line【オリジナルPV】

すごいわ、歌詞を読み返したら同じようなこと言ってるわあ。

”貴方が誰を愛すことで救われる恋はどこにもなく、その清き愛じゃこの世界は変わらないかもしれないけど貴方が誰かを愛すことで貴方自身が救われるなら、その清き愛はこの世界を変えるのかもしれない”

ジコチューで強引にGO!ってことですね?!

結局ギャルマインド最強。

「こんなこと言ったら嫌われるかな?」とか悩まず、想いは素直に伝える!

誰が何と言おうと好きなものは好き!って気持ちこそが、人を惹きつけるんかなあ。

ま、あーだこーだグルグル悩むのもまた醍醐味だし楽しいんだけどねっ!

臆することなく愛す。

そういう心もちでいたい。

 

愛を知るところのくにから書き送ります。

この作品に出会えて良かった。ありがとう