あやまほし

観劇・体験レポとエッセイ

国府は夜の七時

"はやくあなたに会いたい"

もう会えないであろうあの人はどうしているかと、どうか元気でと切に、切に願う。

東京も夜の七時なのに。今は遠すぎて、遠い遠い幻想の街だ。多分またそこに行ったって実態掴めずに、あれは何だったんだろうってまた品川からスタバ買って帰るんだと思う。

すぐ思い出せる台所。コーヒーミル。川端康成の小説に「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。」という一節がある。「化粧の天使達」って、なんて美しいタイトル。絶対読む。読んだらまた書くね。この一節は有川浩さんの小説「植物図鑑」で知った。小説の中の世界で小説がある入れ子構造好き。「レインツリーの国」然り。

甘いな、私は私を日常に刷り込ませるよ。毎日毎日思い出してね。そのチープなミルクフォーマーの使い方を教えたのは私。Switchの持腐れ。テレビでYouTubeが見られることを教えたのは私。

会いたい人がいるから、劇場が待ってるから行きたいのに、今や私にとっては何でもない虚無巣食う興味も湧かない帝都。PIZZICATO FIVE の「東京は夜の七時」。椎名林檎さんが書いた返詞が明る切なくて泣ける。

なんせ「目抜き通り」大好きなもんで。バレてる?

いつも思う。東京には全てがあると。私が言う「東京に行きたい」ってのは、"金メダルが欲しい"っていうのと同じね。何もそのメッキの円形の延板が欲しい訳じゃなく、それを得るに値する存在になりたいってことね。世界でいちばんになりたいなあ

エンターテインメントに人生救ってもらった事が無い人には分からないね。

多分さ、会う約束なんてしてないと思うんだけど。

"待ち合わせのレストランはもうつぶれてなかった"から。"気がついて時計を見ると"、違う世界線の夜の七時の東京に行ったんだと思う。

 

あの錦糸町も、中野も、お台場も、全部嘘みたいだ