あやまほし

観劇・体験レポとエッセイ

与え合い、愛。

与えられる人は、与えられる。

前半の「られる」は"可能"の意味で、

後半は"受身"の「られる」ね。受動態!

先に人に何かを与えることができる人は、後からちゃんと何処かしらから何かしらを与えてもらえるってこと!本当は「ら」抜き言葉使いたくないんだけど、紛らわしくなって伝わりづらいこと請け合いだから便宜上あえて使う時あるよね。話し言葉も、書き言葉も。

突然始まる文法マジレス芸人。まってまって、ちゃんと面白いから。

言葉は変化していくものだから、あんまりうるさいこと言いたくないんだけど「天気良き」という言い回しだけは解せん。

昨今、主に若者の間で爆発的な広がりを見せている「よき」の語法。流行ってるから、みんな使ってるからって一緒になって使ってたら、日本語の教養の低さを露呈する恐れありまくりだから、やんごとなき日本古来の美しさを味方につけたいなら知っといて。

「よき」は、本来、基本形「よし」の連体形。つまり、下に体言(たいげん)(=名詞・代名詞)

がつく時の「よし」の活用系。

「〜でよき。」って使い方は間違ってるの!

「〜でよい。」が正しいの。そこで文章が終わってるから、本来ならば終止形「よい・よし」を使うべき。だから、「天気良き」じゃなくて「良き天気」

なら正解。"天気"は名詞だから!

「天気良き」は聞いててマジで気持ち悪いし頭悪いからやめてほしい。聞こえた耳が不快。"よき"は、「よき〇〇」みたいに、後ろに名詞か代名詞が続く時しか使えないの!

駄菓子菓子、強調の意味であえて使うならばまだ分からんこともない。あえて誤った語法を用いることによって、読み手または聞き手に違和感を与え、印象付け、強調する意図があるならば効果的な使い方だと思う。まあ、巷の若者がここまで考えて、あえて「よき」という言いまわしを選んでいるとは到底思えないが。

まあでも、この「よき」が流行り出したのは、そういった理由からであろう。本人たちが意図せず、しかしそういう大衆心理のもと、無意識の意識で、ある一定の慣習が広がっていくのって面白い。

とは言え、彼の夏目漱石先生を始めとする日本の文豪たちも、「全然」の下に否定の"ない"をつけず、あえて強調の意味で「全然+肯定」 の表現を使ってますからね。

全然大丈夫は全然大丈夫じゃない?!

全全全世を全うしよう。

と、まあこんな感じで、普段何気なく使ったり聞いたりしている言葉も、文法的にマジレスしていくと本当の意味が浮かび上がったりすることもあって、その言葉の真意を読み取ることもできたりするのだ。ここ最近で1番感動してハッとしたのは、

アニメ「交響詩エウレカセブン」での名言

「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん」

である。元ネタは新約聖書だが、捩り方が天才的で悶える。「さすれば」にしたのが良いなあ〜。唸る。なぜかというと、

已然形(いぜんけい)➕ば  

は、順接の確定条件。 さすれ➕ば で

さすれば=「そうするので」と訳すことができる。

もし、さす「ら」ば だったとすると、

未然形➕ば  になり、順接の仮定条件。訳すと

さすらば=「そうするならば」という意味である。

つまり、「さすらば与えられん」でなく「さすれば」にすることによって、「与える "ので"与えられる」 という与える事こそが与えられる所以である、という意味になるのである。

「与えるならば与えられる」のではなく

「与えるから与えられる」のだ。

作者は、古典文法をきちんと分かっている上で効果的な捩り方をしているのだろうと考える。ちなみに、「与えられん」の「ん」は否定の意味ではなく

言い易くするために「ん」に変化した

「む」という推量の意味の助動詞なのである。

(※助動詞「む」には他の意味もあります。文脈で判断して訳します)

なので、「与えられん」は

与えられていないのではなく「与えられる"だろう"」と訳す。

したがって、「さすれば与えられん」の現代語訳は

「そうするので与えられるだろう」。

強請って与えられるのを待つのではなく、自分から動いて勝ち取ろうとする意志があれば、いや、自分の力で勝ち取るからこそ本当に自分が欲しい、価値あるものを頂くことができるのである。授かることができるのである。

全部1人でやっている、できていると思わないこと。

「自分の力で」というのは、人に頼るなということではない。

自分の欲しいものを勝ち取る熱意に賛同してくれる仲間を勝ち取ることすら、自分の力だ。頼れる人、助けてくれる人 を勝ち取れ。

「あなたとなら」って言ってくれる、"人"を勝ち取れ。さすれば、全て与えられん。全て手に入らむ。

先に与えることができる自分が幸せなの。

あなたから与えてもらおうなんて思ってないよ。

"与えさせてくれて"、ありがとう。

あなたがいてくれることで、私はあなたに与えることができる。私はもう既に与えられています。

満たされています!そしていつか、何処かしら何かしらから必ず与えてもらえることを私は知っている。自分に自信を持って。与えることを恐れないで

 

すいかとめて、心込めて。